海外からの来客(その1)
1980年代の日本には、実に多くの方々が、キャスティングスポーツ普及のために来日してくださいました。中でも一番衝撃だったのは、この方でしょう。
シャグ・シャヒド(Shag Shahid)
フリップキャストの名手です。5’1/2″の長さのSpeed StickとLew’s Speed Spool BM-1を使って、華麗なる妙技を見せてくれました。おへそのあたりにコップを持って5mくらいはなれた所に立ってもらった人の肩を越えて投げたプラグが、後ろからその人の股を通過させて、持っているコップに入れるという離れ業を、フィッシングショーの会場で見せてくれました。リョービのCFでキャスプロ5000Vを宣伝に出演していたこともありました。今の日本でいうところの、村田基さんが実演されているのが、このShag Shahidさんの発展系です。そして、このフリップキャストが、後に玩具メーカーのバンダイが仕掛けた『ハイパーキャスティング』に繋がったのでした。
「グランダー武蔵」というアニメと一緒に仕掛けて、幕張メッセや豊洲で大会を開催したこともありました。2000年頃といえば、丁度秋田ワールドゲームス前で盛り上がっていた時期です。ワールドゲームズの打合せで来日した当時のICSFのUlf Janson会長とUlf Persson事務局長と一緒に、村田基さんやバンダイの方々と浅草で会食をしたことを思い出します。座敷にテーブルですき焼きをいただきましたっけ。アニメの終了と同時にHyper Castingも廃れてしまいましたが、その後シマノの18gのプラグを使ったディスタンスの大会が開催されるようになったのです。
スティーブ・レイジェフ(Steve Rajeff)
デモンストレーションではなく、本気で日本の大会に出場したときの写真です。1981年だったかと思います。このときは雑誌「つり人」も「フィッシング」も取材に来られて、大きく記事を取り上げてくれました。まだGloomisに入る前の、SAGEのスタッフとして参加していた頃でした。
その何年か前のフィッシングショーでも、ティムコのブースにスティーブのロッドが飾られていて、子供心に写真を撮っていた記憶もあります(当時はまだティムコがSAGEを扱っていました)。全盛期のスティーブのパワフルなスタイルに、多くの日本人選手は取り憑かれたものです。絶妙のタイミングでロッドを曲げるショートストロークのスタイルは、スティーブだからできること。なのに、それをなんとか習得しようと多くの選手が挑戦しました。再現できたのはそのうちに若干名。そしてクラブ単位でいろいろなスタイルが生まれてきたものでした。キャスティングスポーツの情報源があまりなく、来日してくれる選手・エキスパートのスタイルから学んでいたため、どうしても偏ってしまったのは仕方ありません。
1996年南アフリカ大会のときのスティーブの2種フライ片手投げ距離のときの写真が出てきました。このときは後ろからの3mを超えるような追い風ではあったものの、確か70mを超える記録で優勝したと記憶しています。当時は圧倒的に強かったスティーブですので、投てきが始まると多くの参加者が見学に集まってきます。ビデオカメラもズラリとならんでいました。その中でほぼ真横のベストポジションにビデオを設置し、少し後ろ側で撮影したのが、この写真です。フィルム2コマを使って16連写するゴルフ用のカメラを使っていました。バックキャストでロッドを留めたところからドリフトしたラインが整った後にフォワードキャスト〜シュートの一連の動作がしっかり写っています。10コマ目のインパクトの瞬間にもまだフォールが始まっていない、あるいは始めたばかりのタイミングであることがわかり、11コマ目までのタイミングでフォールとリストダウンをしっかり行い、12コマ目からはフォローするーに入っていることが良くわかります。