Casting Sportについて
キャスティングスポーツの歴史
「投げる」という行為を伴う「釣り」というレジャーにおいて、「どれだけ遠くに飛ばせるか」や「どれだけ正確に投げられるか」を競いたくなる、という気持ちは自然発生的に生まれてきてもおかしくはない。『キャスティングスポーツ』は、このような背景から生まれてきた。
対象魚によって使う道具が違うのも、また「釣り」というレジャーの特徴であることから『キャスティングスポーツ』にも、使う道具によって幾つものカテゴリーに分けられる。
砂浜から水平線に向かって思い切り投げる「投釣り」をベースに生まれた「サーフキャスティング」というカテゴリーには、日本ではスピニングリールを使った遠投競技が花形種目だが、欧州では両軸リールを使う種目が盛んに行われている。リールだけでなく、飛ばすオモリの重さの違いからも、それぞれが使うルールには異なる部分も多く見受けられる。
淡水の釣りで疑似餌を使った釣り「ルアーフィッシング」と「フライフィッシング」をベースにした『キャスティングスポーツ』のカテゴリーで競技を行っているのが、国際キャスティングスポーツ連盟(ICSF)であり、私たち『一般社団法人日本キャスティングスポーツ連盟(JCSF)』も所属する国際団体である。前述のように、元々は自然発生的に各地で行われていたスポーツを、統一ルールを作ってスポーツとしての佇まいときちんとするために、旧東側諸国が加盟していたFCSと西側諸国が主に加盟していたICFの2つの団体がひとつにまとまる団体として、2003年にICSFが設立されたのだった。
JCSFの基礎を作った初期メンバーの1人であり、JCFのまとめ役だった宮入健一郎さんは、活況の末に幕を閉じた2001年のワールドゲームズ秋田大会を見送って鬼籍に入られた。次の2005年ワールドゲームズ・デュイスブルグ大会の後、ICSF設立に多大なる貢献を果たした当時のUlf Janson会長が他界された。Ulf Janson会長は、2001年のワールドゲームズの前にも日本に来日され、日本のキャスティングスポーツの隆盛ぶりに大きな期待をしてくれた方でもある。
1980年代のフィッシングショーでは、海外からキャスティングの名手を招聘して、その妙技を観客にパフォーマンスするという趣向があった。覚えているだけでも、胸の所に構えたシャンパングラスに肩越しに投げたプラグを股の間を通して投げ入れるという絶妙のパフォーマンスで魅了したシャグ・シャヒド(リョービのCFにも出演していた)、オムリ・トーマス、レオン・チャンドラー、アン・ストローベル(釣りキチ三平「O池のタキタロウの章」に登場した白川由美のモデルとなったプロキャスター。両手で6本のフライロッドをもってフォルスキャストをするパフォーマンスで有名だった)、スティーブ・レイジェフ等々、多くの方々が来日してくれた。その頃にカナダで開催された世界選手権に出場した選手が声をかけて、当時のトップクラスの選手を招聘してくれたことがあった。
Bente Skyrud(Norway)、Lisa-Lotte Christianson(Sweden)、Craudia Rickman(西ドイツ)の3名。今は日本でも主流のスピニング正確度種目で用いられているペンデュラムキャスト(振り子投げ)は、Craudiaが見せてくれたものが脈々と受け継がれているようなところもある。Lisa-Lotteは後にUlf Jansonと結婚し、2001年の秋田大会でも来日した。昨年のスペイン大会にも出場していた。
このページの最初に出てくる写真は、Ulf Jansonがまだ会長になる前にストックホルムで開かれた国際会議のときのもの。現在の会長のKurt KlametやHelmut副会長、Josef事務局長もいれば、SteveやMathiasの顔も皆若い。JCSFとICSFの関係の深さをうかがい知ることができるというものである。
日本におけるキャスティングスポーツの歴史、JCFから『JCSF』へ!
そしてついに2013年に、旧来から日本のキャスティングスポーツの第一線で活躍していたメンバーが、原点回帰を計るため、新しい団体としてJCSFを設立した。先人たちの思いを受け継ぎつつ、国際連盟(IF)のICSFとも連携を密に取りながら、活発に活動しつづけている。海外での大会の成績もさることながら、日本国内においても2015年にはICSF公式大会としては2001年以来となる国際大会、World Cupを開催し、海外からも多くの選手を招聘した。また、2016年にも同様にICSFからの要請をうけ、2017年World Cup第4戦日本大会の開催に向けて、調整を進めている。
このように、JCSFはICSFのアジアにおける窓口として、近隣諸国との連携を深めるための役割を担うことを、期待されている。