スピニング正確度種目のススメ その2(道具編)

スピニング正確度種目のススメ その2(道具編)

始めてみよう、キャスティングスポーツ。まず最初は、スピニング正確度種目をご紹介しております。今回は、実際に競技で使われている道具を、実際の写真を交えて、より具体的に解説していきます。

専用の道具ってあるの?

答えを先にいうと『あります』。ドイツで販売されています。しかし、メジャーではありません。日本よりも比較的メジャーではあるキャスティングスポーツも『釣具屋に行けば全種目の道具が揃っている』なんてことでは、ないのです。日本でも競技用のラインやプラグをJCSFが直接輸入して頒布しているように、ドイツのキャスティング連盟や各地のクラブが代理購入して競技者に供給しているのです。

ロッドを供給しているのは『PALADIN』というメーカーです。1990年代に活躍していたドイツ代表Aチームに所属していたThomas Maireが監修して作られたロッドです。中国に工場をもつ会社なので、安価に供給されていることも特徴のひとつです。世界選手権でも、そこそこ使っている人も見かけたりします。これらのロッドのほとんどは、Thomasが実際に使っていたロッドを完璧に再現するように作られています。なので、Thomasの体格のスペックの選手であれば、使いこなせるのですが、特に2種と5種のロッドは、かなり使い手を選ぶのでご注意ください。しかし、この3種と4種向けのロッドは、実に使いやすいロッドであることに間違いありません。

エキスパート用と初心者用


PALADINのスピニング正確度種目用のロッドは2種類あります。最初に登場した「Edition」(上)、そしてより初心者向けに作られた「Basic」(下)です。「Basic」はグラスとカーボンのコンポジットモデル。直径も少し太くてスローな仕上がりになっています。最初に登場した「Edition」は、Thomasが実際に使っていたロッド、そのものといっても過言ではありません。持ち運びを考えてのセパレートタイプのグリップや、堅実性から選ばれた、ダブルフットのガイドのセッティング。違うのは2リング式のリールシートときれいすぎる全体的なコスメティックくらいです。慣れている人には「Basic」は物足りないようにも思われるかもしれませんが、基本を覚えるのなら、やはり「Basic」を選ぶのもありですし、未だにグラスロッドで試合に出ている選手も少なくありません。
使いやすいロッドではあるのですが難点もあります。やはり、入手しにくいこと、は否めません。値段を押さえるために、使われているガイドが全て中国製のSICガイドであることから、日本国内で正規に輸入して販売することは難しそうです。Fujiガイドを選んで組み立ててもらう日本仕様を作ってもらうには、それなりの本数をまとめて注文する必要があるでしょうし、現状そこまでの発注をかけられるほど、日本国内外での市場があるとは考えにくいと言わざるを得ません。それに同じようなロッドやブランクが日本国内でも比較的簡単に見つかる、ということもあったりします。専用のブランクや完成品を探さずに、折れたロッドを流用したり、安価に売られている中古品を組み直すといった、プラモデル感覚で『ロッドビルディングしてみる』ということを楽しみに加えてしまえば、その幅は格段に広がるというものです。

自分でロッドを組んでみる、という選択肢

上記の写真は全て中古で購入し、自分好みのロッドを作ろうと試行錯誤している途中のものです。スピニングロッドをそのままスピニングロッドに使わずに、あえてベイトロッドにしてみた実験作もあります。いろいろと試せる分、迷いも増えてきて、アレコレやるうちにまた悩みも増えて、という迷宮に入ってしまう危険もありますが、それもまた楽しみのひとつだったりするのではないでしょうか?