2017全日本選手権大会レポート

2017全日本選手権大会レポート

全日本選手権初日

朝夕吹き抜ける冷たい風が一層、闘志を奮い立たす11月第一週。前月に関東を襲った台風の影響により、会場向こうの利根川が氾濫、グラウンド手前の駐車場まで水をかぶったと思われるそのコンデションに朝から頭を悩ます関係者たちと、「前日練習をした時点で何故教えてくれなかったんだ!」と、ひとりクロックスで立ち尽くす岡本理事(笑)
色とりどりの長靴で開幕した第4回JCSF全日本選手権大会ではありましたが、JCSF前代未聞のグラウンドコンディションにもかかわらずコート設営から競技開始に至るまで、何ともスムーズな進行となりました。それだけでなく、到底モチベーションも下がるというこの状況下、早朝から笑い声たえない競技会となったのも今大会…プラグディスタンスの大御所たちがこぞって集結してくださったことが要だったのではないでしょうか。この日止むを得ず不参加だった選手は残念! それはそれは嬉しい顔ぶれでした。そしてこの日、喜ぶべきはもうひとつ。加登眞二選手の次男である新星 加登達大選手(19)と、佐々木潤選手の長女でありJCSF登録初のジュニア女子 佐々木桜音選手(13)の同時デビュー戦です。日本のキャスティング界に初々しい光が射す第一日目、スタートです。

第3種スピニング正確度アレンバーグで特記すべきは、初出場最初の種目となる3種で80ポイントを打ち出した佐々木桜音選手。緊張の中に余裕さえ感じる落ち着いた立ち振る舞いは、その一投一投が力強く、幼少から嗜んでいる空手では宮城県強化指定選手というのもどこか通ずるものがあったのでしょうか。優勝は90ポイントで櫻井昭彦選手が獲得。

続く第4種スピニング正確度では、齋藤宏宣選手が自己記録初の100ポイントで優勝。
第8種マルチプライヤー正確度は櫻井昭彦選手が90ポイントの優勝。続いてプラグディスタンスに移り第7種スピニング両手投げ距離、ここでは立嶋達也選手と村山洋選手の100メートル先の接戦になりましたが、立嶋選手の1投目103.18メートルが優勝記録となりました。そしてこの日の最終種目となる第9種マルチプライヤー両手投げ距離では、加登眞二選手・立嶋達也選手・村山洋選手の、ここでも100メートル先の接戦、2位の立嶋選手と僅か1メートル差の103.71メートルを投げ切った加登選手が優勝を勝ち取りました。7・9種未経験の若手たちもいつになく真剣に、世界レベルの投擲を各々目に焼きつけていたことでしょう。

表彰式も大いに盛り上がりました。佐々木桜音選手の第3種堂々の5位入賞は、数ポイント差で左右に立つ大人たちの表情たるや…(笑)
第4種で初のパーフェクトを打ち出した齋藤選手の目には、キラリ光るものがあったのでは?第7・9種の表彰は、日本を代表する偉大なる選手たちの顔がズラリ並び、表彰撮影はそのオーラに一瞬「逆光?」と目を疑うほど圧倒されるものがありました。一日目終了後は恒例のJCSF大宴会が開幕いたします。が、一部朝日を拝んだメンバーがいたとかいないないとか?ここは大会報告より長くなりそうなので省略させていただきましょう。

大会二日目

翌日もグラウンドコンディションに変化はなく、それでも救われたのは前日に引き続きこの日も晴天に恵まれたこと。前日とはまた違う顔ぶれに挨拶を交わし、前日とは少し違ったカラーバリエーションの長靴で開幕した選手権大会ニ日目。第1種フライ正確度では少し強めの風を受けながらパーフェクトが2名。「プレイオフの投擲順を決めるジャンケンに勝ったのが全てだったかな。」と、一瞬NHKの”プロフェッショナル…”を彷彿とさせる後日談は岡本堅史選手(笑) 。プレイオフ、一方の櫻井昭彦選手が先行、タイム勝負に出た櫻井選手、更に強まる風に惜しくも2つ落とし90ポイント。誰もが岡本選手の慎重な一投目を想像し息を飲んだ次の瞬間、まさかの早撃ちを持ち出す岡本選手!に、一同「おーーーい!」と突っ込むも、岡本選手「ゆっくりやって外したらカッコ悪い。1分1秒できたら攻めるしかないでしょ。」のこれまたNHKの…な、後日談(笑) 。結果、2つ外し同点(!)となるも「59秒」のコール、笑いと感動のエンターテイメントでした。

続いて第2種フライ片手投げ距離、グラウンドコンディションの悪い中、唯一の60メートル超えを2本揃えた浜野勝選手、2位と5メートル以上の差をつけ61.87メートルで堂々の優勝、第2種王者の実力を見せつけてくれました。
続く第6種フライ両手投げ距離は小松浩文選手と、唯一向かい風を受けた加登眞二選手が接戦となりましたが、小松選手の最長68.14メートルには2歩届かず!優勝は小松選手の手に。
そして、今大会の最終種目となる第5種スピニング片手投げ距離。70メートル先の戦いは加登眞二選手と櫻井昭彦選手で繰り広げられました。その結果、の前に…初出場、加登達大選手の父親仕込みの52.66メートルは、そのフォームのキレの良さから、近い未来に日本の星となってくれるのではと、誰もが期待に胸を膨らませた投擲でした。そんな最終種目の結果はというと。父・加登眞二選手の1投目、73.23メートルが優勝記録となりました。父の威厳が保たれた!のはそれだけではありません…

最終集計が終わり、表彰式に移ったところで総合種目が発表されます。フライ総合・5種目総合・全種目総合、今年その全ての優勝トロフィーが、ただひとりの選手の手に渡りました。JCSF2017年の全種総合チャンピオン、加登眞二選手です。今大会、時折父親の顔を垣間見せていた加登選手、達大選手の目に映った偉大なその背中には、更なる未来が続いて行くことでしょう。
こうして最後まで白熱した2017年度第4回JCSF全日本選手権大会は、再び吹く肌寒い風と、綺麗な夕焼けがその幕を下ろしました。

今大会、改めまして皆さまのご活躍を祝福いたしますとともに、出場された全ての選手のご協力、必要機材を提供・搬入いただきましたJSCの有志に感謝いたします。

JCSF全日本選手権は「また来年」となりますが、今大会の結果による来年度の世界選手権出場選手の輩出など、来年に向けた助走は始まっています。クラブ主催の大会は年内にもまだ残っています、そして来年もキャスティングスポーツは各地でその盛り上がりをみせることと思います。JCSFでは選手の皆さまの更なるご活躍を応援しておりますとともに、皆さまとより密になり、より良い運営を心がけて参りたいと思っております。